日本 行政

おおさか維新の会が提案する一院制のメリット・デメリットは?

国会議事堂-2007.1
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一院制とは

単一の議院から構成される議会制度である。OECD加盟国の中では、34カ国中15カ国が一院制を採用している(G8は全て二院制)。主な採用国として、韓国、スウェーデン、ノルウェーなどが挙げられる。世界的には、徐々に二院制が増えているが、二院制より一院制を採用している国が多い(2011年度は77カ国ー41%が二院制)。特に、それは新興国に多く見られる。理由としては、国の根幹となる法案や政策などの意思決定を迅速にし、経済発展などを急激に進めてきたことが考えられる。日本では二院制が採用されているが、そもそも日本国憲法のマッカーサー原案では一院制とされていた。だが、旧憲法が二院制であったことから、現行憲法でも二院制が踏襲されており、一院制になる可能性は十分あった。

 

韓国の事例

議院定数は299人、任期は4年で、解散はない。選挙制度は、小選挙区制と比例代表制の並立制である。 小選挙区で245人、比例区(全国単位)で54人が選出される。1987年の民主化以前では、経済発展のために、大統領に強大な権限が集中し、国会は行政に対して限定的な影響力を有するに止まっていた。しかし、1987年の第9次憲法改正で、大統領による国会の解散権は廃止。また、会期の日数制限規定や、大 統領が招集要求した臨時会における処理案件の制限規定が削除され、国会の独立性が強化さ れた。 その後、2000年には、国会に人事聴聞会制度が導入され、国会の行政統制機能の充実が図られた。最近の韓国国会では、議員立法の著しい増加が注目を集めており、国会の立法活動の活性化への期待が高まっている。

このように、韓国では一院制のメリットとして、立法上の行き詰まりが生じにくく、迅速で効率的な審議・政策決定がなされる。それは、9度に渡る憲法改正などに見てとれる。

一方、デメリットとして、慎重審議の点で劣り、国民に迎合するポピュリズムになりやすいことが挙げられる。

 

スウェーデンの事例

スウェーデンの立法府は、リクスダーゲンと呼ばれ、議会制民主主義になっている。構成する議員は349人で、比例代表制による選挙で選出されており、4年の任期を務める。メリットとしては、上記と同様に迅速な政策決定が考えられる。本国では、国会議員の育休制度「代理議員制度」などのようにOECD加盟国の中でも先進的な政策が目立つ。

一方、デメリットとして、こちらも上記と同じだが、立法権が一つの院に集中することで、その時の意見によって国の形が大きく変わってしまうリスクがある点が挙げられる。例えば、近年スウェーデンはNATO加盟是否で揺れており(関連記事:ロシアとスウェーデン、高まる戦争の危機)、今までは非同盟中立国という立場を保ってきたが、その時の世論の声を受けて急転換する可能性もある。ただ、憲法改正を行うには、2 回の議決が必要とされ、1度目と2度目の間に総選挙を実施しなければならない。

 

おおさか維新はなぜ一院制を採用しようとしているのか

参議院の不要論(関連記事:衆議院と参議院の違いとは何か?)、おおさか維新の会の綱領とも関わってくるが、国家再生のための抜本的な改革が急務であると考えているからであろう。また、おおさか維新は「小さな政府」を掲げており、議員定数を削減したいというのもあると思われる(関連記事:おおさか維新の会はどのような憲法改正を行おうとしているのか?)。

 

日本で行われている一院制の議論

まだ本格的な議論は進んでいないが、超党派の衆参対等統合一院制国会実現議員連盟(会長:衛藤征士郎衆議院議員)はあるが、法審議や政策決定の迅速性、議員定数削減、参議院の存在意義などが主に争点となっている。

一院制賛成論者の意見としては、少子高齢化が進む中で大きな変革が求められ、立法、政策決定においての迅速性が必要。また財政赤字が膨らむ中で国会予算の削減などがある(上記の連盟では30%議員削減すると主張)。さらに、現行の選挙制度では衆参ともに似たような議員(政党)が選出され、参議院不要論も出ている。

一方、一院制反対論者の意見としては、立法、政策決定において、慎重な決議を要することなどが挙げられる。また、参議院に関しても、タテマエ上「良識の府」であるとし、衆議院の優越などからくる暴走を阻止するために必要としている。だが、本音としては議員定数を削減したくないというのがあるだろう。「一票の格差問題」でも、議員定数に踏み出せずにいる状況で、参議院をなくすというのは相当ハードルが高いのは間違いない。さらに、一院制を実現するには憲法改正を必要とする。ただ、社会保証制度改革や規制緩和など、既存の仕組みをアップデートする必要性は確実に高まっており、その変革を実現しやすくするために一院制というのは有力な手段だろう。「憲法改正」といった時に9条ばかりが注目されがちであるが、国会の抜本的な改革を行うためにも様々な角度から憲法改正について議論していくべきだと思われる。

 

・追記(2月15日17時15分)

読者から重要な指摘があったため追記させて頂くが、二院制のメリットとして国会の空白化を防ぐ機能がある。参議院は、6年の任期ごとに一斉に改選するのではなく半数改選としており、その目的は議院の継続性を保つとともに国会の機能の空白化を防ぐことにある。

 

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