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自殺対策は今後どうなっていくべきか?

Koseirodosho1
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自殺対策を国や自治体の責務と定めた自殺対策基本法が今国会で改正される。これは、超党派の議員で設置された「自殺対策を推進する議員の会」(会長・尾辻秀久元参院副議長)によって提出されたもので、基本法が2006年に施行されてから現在に至るまで、法改正はされてこなかった。自殺者数は国内で、2011年まで14年連続で3万人を超えた。その後、景気の回復基調を背景に中年男性の自殺が減り、警察庁によると2015年は 2万4025人(暫定値)で18年ぶりに2万5千人を下回った。しかし、内閣府によると、人口10万人当たりの自殺者数である自殺率(2014年で20.0人)は米国(2010年で11.0人)の2倍近く、英国(2010年6.0人)の3倍以上で、先進7カ国で最悪の水準だ。

 

自殺対策基本法改正によってどのように変わるのか

2006年に施行された法案では、自殺総合対策綱領に基づき自治体の自助努力の要請に留まっていた。例えば、精神疾患やうつ病に対する理解と支援などだ。また、青少年、中高年、高齢者別と大雑把な分類で対策が練られていた。

しかし改正案では、自治体に自殺者の年代や性別、職業などの傾向の分析を踏まえた計画づくりを義務化。例えば小中高生ではいじめによる自殺が多い可能性があるため、悩みの内容に応じて自治体が支援先につなぐ仕組みづくりを想定する。

 

自治体の対応例

例えば、東京都では、2007年7月に『自殺総合対策東京会議』を設置。自殺のゲートキーパーとして、自殺に関する正しい知識の普及啓発や教育、自殺危機の早期発見、早期対応及び遺族支援を3つの柱にした政策を行ってきた。また、自殺のゲートキーパーの養成なども行ってきた。その結果、2012年の都内での自殺者数は減少したものの、 1998年以降依然として高い水準で推移している。

さらに具体的な取り組みでは、泉区長が市立の全中学校の教員数を1人ずつ増やし、いじめの専任教員を置く対策を推進している。これは、泉区の市立館中の男子生徒が2014年にいじめられて自殺した問題を受けてのことである。

 

今後の自殺対策

前提として、自殺者は自分だけで悩みを抱えてしまっている例が多い。その悩みを共有することを念頭においた対策が必要だ。

具体的には、学校でのいじめ自殺などに関しては、教師や相談員などの存在が身近であることが重要である。現状は、仕事量が多く、生徒1人1人に目を向けられる状況ではなくなっている場合が多い。そのため、教師や相談員などの存在も削減するべきではない。いじめ対策コールセンターなどを自治体が設けている場合もあるが、生徒たちの精神状態では気づくことすらできないだろう。

自殺対策白書によると2013年の15~39歳の死因は自殺がトップ。20代前半では死因の5割を超えている。その年代の自殺原因は、就職活動にまつわるものが多い。

自殺の原因は責任の所在が不確定なこともしばしばあり、ある特定の人物に対して責任を追及しても対処療法となるだけで、根本的な解決にはならない。自殺に関しては、1人1人が精神疾患などの正しい知識や認識を得て、その後周囲の人間から個別具体的な取り組みをするのが現状最適ではないかと思う。

 

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