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介護労働者の離職率を改善するにはどうすれば良いか?

介護離職
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今月、川崎の老人介護施設で職員による殺人事件が話題になった。ここまで極端なケースでなくとも、低賃金で体力仕事であるため、介護職当事者で何らかの強い不満を募らせている人も多いかもしれない。そのため、離職者は一般的に多いとされている。では、具体的に、介護職の現場はどのような状況なのか?なぜ離職者が多いのか?海外の事例、国内の数少ない具体的な対策例を交え、今後の考察もしていきたい。

 

日本の離職の現状とその理由

厚生労働省『雇用動向調査』によると、全産業平均の離職率は平成24年は14.8%、平成25年は15.6%。

一方、介護職に関しては、厚生労働省所管「公益財団法人 介護労働安定センター」のデータを参照すると、平成24年度が17.0%、平成25年度が16.6%と平均よりも高くなっている。

https://careerlove.jp/careworker-turnoverrate-1063
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しかし、勤務年数別離職率においては、1年未満と1~3年未満の職員が著しく高い傾向にある。

離職率が高い理由として、「賃金の低さ」、「肉体的・精神的にきつい」、「社会的評価が低い」などが挙げられる。特に低賃金である現状は、厚生労働省の統計によると、福祉施設の介護職員の月給は2014年の全国平均が常勤で21万9700円。全産業平均の32万9600円より約11万円低い。

 

海外の現状

デンマークは、物価が高く最低賃金も2000円と単純に比較することは難しいが、介護職の平均月収は46万円と日本に比べると高い。

また、施設や福祉関係職員(人的資源)も充実しており、無料で24時間ケア体制や訪問看護師による在宅訪問など施設と在宅ケアが統合し、総合システム化している。

他の事例としては、カナダの一般的な外国人介護職の給与は35万円前後、欧州先進国も30万円前半、台湾では25万円前後と日本よりは高くなっている。

ただ、海外でも介護職の人材不足に悩んでいる国は多く、移民を受け入れるなど対策を進めている。日本は世界の中でも突出して高齢化しており、その問題の深刻さは世界一と言っても過言ではないだろう。

 

介護施設によっては待遇改善に取り組んでいる

兵庫県尼崎市にある社会福祉法人あかねでは、職員のキャリアアップ制度を導入している。ここでは職員全員が年1回、介護の技能や知識を問う独自の試験を受験。合格すれば、給与が上がる。ケアマイスターと呼ばれる制度で、技術力や指導力などの評価に応じ、6段階のランクがある。基本給や手当を加えれば、年収が600万円に達する職員もいる。そのように、賃金を高額アップさせることで、モチベーションも高まり、離職率も減少すると期待されている。

また、介護職員の肉体的負担を和らげる「介護ロボット」の活躍が注目されている。介護ロボを導入する施設への補助制度も実施され、介護従事者の人材不足を補う役割を果たすとみられている。

 

国はどう対策すべきか?

政府が2015年に発表したロボット戦略では、介護分野のうち、(1)歩行支援、(2)排泄支援、(3)認知症の人の見守り、(4)(ベッドからの移し替えなど)移乗支援、(5)入浴支援の5つを重点分野とした。2020年までに介護ロボの国内市場を500億円に拡大するほか、介護従事者が腰を痛める機会をゼロにすることをめざしている。

確かに、介護ロボットの導入により、肉体的負担は大いに減るだろう。しかし、給与の上昇に関しては不透明なままである。またロボットが職自体を奪ってしまう懸念もある。

そのため、介護職の専門性を明確に定義し、専門性に従って給料を上げる上記のマイスター制度を国の制度と化し、今後の超高齢者社会に備えるのが良いのではないかと思われる。

 

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