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「忘れられる権利」初認定ーさいたま地裁

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インターネット検索サイト「Google」の検索結果に過去の逮捕報道が表示されるのは人格権の侵害だとして、3年以上前の自身の逮捕に関する記事の削除をGoogle側に求めた仮処分申し立てに対し、さいたま地裁(小林久起裁判長)が「過去の犯罪を社会から『忘れられる権利』がある」と、削除を認める決定を出した。

 

「忘れられる権利」を初認定

検索結果自体の削除を裁判所が命じた例は過去にもあり、2014年10月、東京地裁がGoogleに対して検索結果の削除を命じる仮処分判断を発令している。

今回のさいたま地裁の事例も、男性は18歳未満の女性に金銭を払ってわいせつな行為をしたとして、児童買春・ポルノ禁止法違反の罪で罰金50万円の略式命令が確定。しかし、逮捕から3年以上経っても名前と住所で検索すると記事が表示されるため、Google側に削除を求め、昨年6月にさいたま地裁は「更生を妨げられない利益を侵害している」として削除を命令。Google側がこの決定の取り消しを求め、異議を申し立てていた。

それに対し、今回の判決は、「忘れられる権利」を認定し、削除を求めた国内初の事例だとされている。

Googleは今回の決定にも不服を申し立て、東京高裁で審理中である。

 

EUの事例

「忘れられる権利」が注目されたのは、2014年5月、EUの最高裁にあたる欧州司法裁判所が、Googleに対して個人の過去の事実を検索結果から削除するよう命じた判決からである。この判決の中に、「忘れられる権利」という表現が使われ、この権利が初めて認められたと言われている。

 

今後の課題

今後の課題としては、「知る権利」と「人格権侵害」にどうボーダーを引くか、「人格権侵害」の対応範囲をどうするかといったことが挙げられる。現状で削除が認められるのは検索結果に表示されるスニペット部分(要旨)に「人格権侵害」がある場合に限られており、本文にも適応範囲を広げるかという議論がある。

言うまでもなく、インターネット検索は利便性が高く、個人に関する情報が削除されれば、その利便性を損なう結果となる。「知る権利」と「人格権侵害」をどうバランスさせるか、慎重に議論していく必要があるだろう。

 

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