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深刻な奨学金返済問題、3割が「結婚の足かせ」

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2月29日、労働者福祉中央協議会が公表した調査によると、大学時代などに奨学金を借りた若い世代の4割が返済を「苦しい」と感じ、約3割が結婚や家購入の足かせになっているという。

 

奨学金返済問題とは?

奨学金の制度で、最も多くの学生に利用されているのが、公的機関である日本学生支援機構(JASSO)だ。同機構の奨学金の利用者は年々増加傾向にあり、2014年度で約140万人にのぼる。この背景には、世帯収入の減少、大学の授業料の高額化があるだろう。

JASSOの「学生生活調査」(平成24年度)によると、奨学金を受給している学生の割合は、大学学部(昼間部)で52.5%、大学院修士課程で60.5%、大学院博士課程で66.2%となっている。特に大学院生では6割以上と利用割合が高くなっていて、大学院の費用まで親が全面的に負担しているケースは少ない。

 

JASSO奨学金
http://style.nikkei.com/article/DGXKZO88263820Z10C15A6W06001#

 

JASSOでは、給付型と貸与型がある。貸与型は、在学中には返済義務はないが、卒業後7ヵ月目から月賦での返済が原則だ。また、貸与型にも無利子の第一種と、有利子の第二種がある。対象者は、大学・短期大学・高等専門学校・専修学校(専門課程)および大学院で学ぶ人である。また、無利子の給付型を導入している大学もある。

 

JASSO奨学金 条件
http://style.nikkei.com/article/DGXKZO88263820Z10C15A6W06001#

 

奨学金制度は上記のようなものだが、現在、卒業後も奨学金を返済できないことが社会問題している。

JASSOの奨学金に給付型はなく、卒業後に返済が必要だが、就職難や非正規雇用の増加で返済が遅れる利用者が続出。延滞者は2003年度末から11万人増え、2011年度末で33万人にのぼる。また、返還訴訟が8年間で約100倍にまで増えている。

JASSOが2010年に発表したデータによると、延滞の始まりの理由としては、家計に収入が減ったことが61.1%と最も多く、延滞し続ける理由としては、本人の低所得が47.8%と最も多い。延滞の具体的な理由としては、在学中、就職活動が上手くいかず、非正規雇用で転々とした結果、低給与のままでいる現状などが考えられる。

 

ドイツ、イギリスとの比較

ドイツでは、ほとんどが連邦奨学法に基づく公的な奨学金制度で貸与型である。対象者はドイツ国籍の有無、もしくは長期間移住の外国人かどうか、学習開始時の年齢制限、家庭の収入の水準などの条件を満たす全ての学生に、自動的に連邦法により、給付が保証される。受給者は給付を受けた金額の半額の返済でよく、返還する半額も無利子となっている。

 

イギリスは、まず大学の年間授業料の平均は約9000ポンドほど(約144万円)の水準である。奨学金は給付型と貸与型があるが、貸与型は受給資格に収入の条件はなく、インフレ率に連動した低金利の奨学金制度となっている。ちなみに、奨学金制度は主に政府系金融機関、スチューデント・ローンズ・カンパニーが担当し、インフレ率に連動した低金利の奨学金の貸与を行っている。

 

問題を解決するには?

海外の事例などを参考に、貸与型の場合、給与に応じて減額制度あるいは一定の水準を下回る場合、返還不要制度などを設けてはどうだろうか。在学中就職活動が上手くいかず、非正規雇用などで職を転々とし、低所得のまま奨学金を返済できない状況もある。また、就職したところで、心身の都合上仕事を続けられず、給与が発生しない例も少なくないだろう。上記のような状況の人たちが、返済から抜け出せる仕組みも必要ではないか?

 

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