アメリカ 社会 近現代史

トランプを支持する白人至上主義団体KKKとは何か?

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スーパー・チューズデーを間近に控えた28日、CNNの番組に出演した共和党候補ドナルド・トランプ氏は、米白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」の元最高幹部、デービッド・デューク氏からの支持表明を拒否しなかったことから、非難を集めている。

 

過去に支持を否認

トランプ氏はデューク氏について「どの団体の話かわからない。まったく知らない団体のことを非難しろと言われても無理だ。調べてみないと」と語ったが、他候補者は一斉に批判した。

同じく共和党候補マルコ・ルビオ上院議員は「間違っているだけでなく、選挙にも勝てない」と批判し、民主党候補バーニー・サンダース上院議員も「米国初の黒人大統領の後任に、KKK非難を拒み憎悪をあおる人物が就くべきではない」とツイートした。

 

 

今回トランプ氏はCNNのインタビューで「知らない」と発言したが、先週金曜日には支持を否認しており、「知らない」ということはないだろう。

これに対し、29日のNBCの番組で「非常に性能の悪いイヤホン」と誤解が原因だったと述べている。「デューク氏がどういう人物かは知っているが、会ったことは一度もない」とし、「私は前の日にデューク氏との関わりを一切否定した」と話した。
だが、保守系メディアであるFOXを含むほとんどのメディアがトランプ氏を批判し、「炎上」騒ぎとなっている。

しかし、なぜこのKKKという団体はこんなにも嫌われているんだろうか?どういう団体なのか見ていきたい。

 

第一のKKK

米白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」の歴史は長い。大きく4時期に分類される。

最初の組織は、南北戦争終結後の1865年頃に設立され、始まりは6人の白人退役軍人が「交友会」として結成したものとされている。名前の由来は、仲間を意味するギリシャ語の「ククロス」とスコットランドの「クラン」からきている。

最初は白装束で黒人の居住区を練り歩き、黒人を脅かし嫌がらせを楽しんでいたという。しかし、元南部軍の将軍ネイサン・フォレスト氏が指導者になると、次第に南部のプア・ホワイト層の支持を得て反奴隷解放運動の要素も加わり、「黒人を懲らしめる」ようになっていく。また、黒人の投票も暴力的に阻止するようになる。

その後は徐々に暴力性が増し、1870年頃には黒人を支持する白人の命さえ奪うほどになったが、1871年には政府から非合法のテロリスト集団と認定され「反KKK法」ができ、摘発されていく。

摘発に加え、奴隷制度が廃止されると次第に活動は縮小し、自然消滅していった。この19世紀のKKKは「第一のKKK」と呼ばれる。この時代のKKKの規模はあまり明確になっていない。

 

第二のKKK

1915年、「神のお告げ」を聞いたジョージア州の白人伝道師ウィリアム・ジョセフ・シモンズ氏が白人の優越と南部の理想主義を擁護する団体として復活させ、「第二のKKK」が誕生する。

今回のKKKは人種差別に加え、民族差別や宗教色も強まり、黒人だけではなく、ユダヤ人や非プロテスタントも迫害の対象となった。さらに今回は凄惨な暴力行為が日常的に起こり、1925年頃には構成員が約600万人にまで拡大する。

影響力も凄まじく、KKKの支援を得た構成員が州知事や最高裁判事、警察、軍部、さらには大統領にまでなっている。ちなみに、支援を受けて大統領になったハリー・トルーマン氏は日本に原爆を落とした大統領である。

しかし、次第にその凄惨な暴力行為に嫌気を差した支持者が離れていき、1930年頃には構成員が約4000人にまで縮小する。

1927年に起きたKKKメンバー約1000人と警察官約100人との衝突で逮捕された7人の中にトランプ氏の父親フレッド・トランプ氏が含まれていたという報道もある(トランプ氏は否定)。

 

第三のKKK

1960年代以降、黒人公民権運動が活発になると、それに反対する運動が起こり、再び活発化する。その頃にはKKKに似た団体が乱立し、現在まで様々な形で存続している。

1975年に「ナイツ・オブ・KKK」を設立したデービッド・デューク氏は、1988年大統領候補を選ぶルイジアナ州予備選挙で、白人からの支持を集め勝利している。しかし、世界中のメディアがKKKとの関係を暴き、全米で批判された。結果的に、ブッシュ氏(父)に敗れている。

 

アメリカ・ナチ党と協力

2000年代半ば頃からは、移民問題や同性婚などに反対して、再び活発化しつつあり、ネオナチ・グループと手を組んでいるという報告書も出ている。アメリカのネオナチ・グループの指導者はKKK出身者が多く、つながりも濃い。規模としては累計で8000人程度まで拡大している。日本製の家電や自動車がアメリカで売れると、日本への批判も強め、90年代頃から日本人留学生や旅行者がネオナチの被害に遭うケースもある。

ここで重要なのは、活動の種類や規模は様々だが、その根本にあるのは、「異種」に対する恐怖だ。現在は、移民の増加による白人の人口比率の減少に危機感を抱いている(関連記事:トランプ現象の背景ー米国 中産階級の没落)。

 

仏極右政党「国民戦線」もトランプ支持

このように、KKKという団体はアメリカの汚点となっており、拒否反応を示す人々が多い。2月27日には、カリフォルニア州でKKKのデモ隊とこれに反発するデモ隊が市内で衝突し、5人が負傷、13人が逮捕されるなど、今でも活動は続いている。

そして、KKKの元最高幹部、デービッド・デューク氏は25日、facebook上でトランプ氏は移民問題に強く、メディアの「ウソ」を暴いて白人社会を発展に導く候補だと支持を表明、ラジオ番組でも支持を呼びかけている。

ただ、トランプ氏の移民政策を支持する極右団体は他にも存在し、フランスの極右政党「国民戦線」党首マリーヌ・ル・ペンは「もし私がアメリカ人だったらトランプに投票する」と発言している(関連記事:仏極右・国民戦線と極左・左派戦線の支持者はどういった人々なのか?)。

 

選挙結果に大きくは影響しない

しかし、今回のデューク氏のトランプ支持表明による騒動は、選挙結果には大きく影響しないように思える。

トランプ氏の支持者は1ヶ月以上前からトランプ支持を決めているし(それぐらい強く支持している)、デューク氏が支持している移民問題やメディア・政治への不信感に支持者も共感しているからだ(関連記事:政治知識と投票行動はどう関係するか?)。

また、こうした政策は共和党員に限らず、全国民からも支持されている(本日発表された最新の世論調査で、移民に関しては、31%がトランプ、25%がクリントン、16%がサンダース支持)。

 

ネバダ州での出口調査

http://edition.cnn.com/election/primaries/polls/nv/Rep
http://edition.cnn.com/election/primaries/polls/nv/Rep

 

トランプ氏が批判していたヒスパニック系もトランプ氏を支持しており、それぐらい既存の政治家や不信感は強い。

結果はいざ開票されないとわからないが、事前の世論調査通り、トランプ氏が勝利し、共和党候補選出に大きな一歩を踏み出すのではないだろうか。

 

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