介護医療 日本

介護職の待遇改善が進むかー野党5党が法案共同提出

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介護職の劣悪な労働環境については既に述べた通りだが(介護労働者の離職率を改善するにはどうすれば良いか?)、給与面が改善されるかもしれない。

2日、民主、維新、共産、社民、生活の5党は、「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」(介護職員等の処遇改善法案)を共同で衆院に提出した。

内容としては、従業員の賃金を上げる事業者に助成金を支給するというもので、1人あたり月6000~1万円の賃金上昇を想定する。

法案提出後の記者会見で筆頭提案者の民主党の中島克仁衆院議員は、介護現場の現状に危機感を示した上で、「安倍政権は1億総活躍社会の3本の矢のひとつとして介護離職ゼロを掲げているが、2015年度の補正予算や16年度予算を見ても、介護人材確保のための処遇改善に真剣に取り組む姿勢は見られない。このままでは介護従事者の低処遇を放置してしまい、介護人材不足に拍車がかかって2020年代初頭までの25万人の介護人材確保など到底難しく、介護離職ゼロなどとても成し遂げられない」と指摘した。

 

背景には昨年4月の介護報酬引き下げによる過去最多の倒産

背景には昨年4月に改定された2.27%の介護報酬引き下げにより、介護事業者の倒産が増え、人材確保にも悪影響が出ている現状がある。

また、特別養護老人ホーム(特養)は約6%の大幅減となっており、26都府県で新規の建設が中止や延期になっている。全国老人福祉施設協議会の試算では、年間の収入が平均で1500万円ほど減り、5割近くの特養が赤字に転落する恐れがあると言われている。

2015年に倒産した老人福祉や介護関連の事業者は76件で、前年(54件)から4割増えて過去最多となった。

 

介護報酬引き下げの理由は増税延期

介護報酬が引き下げられた理由は、増え続ける介護保険料に加え、消費税の10%アップの延期だ。財政を改善したい財務省が強く主張し、「介護事業者の『収支差率』は8%ほどあり、2%ほどの中小企業を上回る」「その結果として特別養護老人ホームは、過剰な内部留保を抱えている」と指摘。

引き下げに対して、世間が強く反対しなかったのは、財務省や政府等による報道コントロールが影響している。2011年に社会福祉法人が黒字をため込んでいるという報道が出ると、同年12月の社会保障審議会介護給付費分科会において、特養を運営する社会福祉法人の内部留保は、1施設当たり平均約3.1億円(2010年度決算ベース)であることが報告された。これにより、「儲けすぎ」「介護報酬が手厚すぎる」という空気が醸成されることになる。

 

しかし、事実として介護職員の人手不足は深刻な状況にあり、上記で述べたとおり、倒産件数は過去最多となっている。

これらを改善するためには、大幅な利益が出ている介護事業者はきちんと利益を従業員に還元し、無届けの老人ホームが増えて虐待など劣悪なサービスが出ないよう、現状の地方公共団体と社会福祉法人だけしか特養が設置できないという制度も変える必要があるだろう。

今回の介護報酬引き上げはもちろん重要だが、今後超高齢化が進む中で、さらなる取り組みが求められる。

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