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児童労働に関する「誤解」-その「児童労働反対!」は本当に正しい?

駅でゴミ拾いの仕事に従事する少年たち(バングラデシュの首都ダッカにて筆者撮影)
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2013年の国際労働機関(ILO)の発表によれば、現在世界では推定1億6800万人の子供が児童労働に従事しており、世界の子供約9人に1人がその搾取を受けていると考えられている。

毎年6月12日の「児童労働反対世界デー」を迎えると、レッドカードアクションを始めとし児童労働に反対する動きが世界中で起こる。筆者も昨年、在籍する早稲田大学の教室とバングラデシュのストリートチルドレンをSkype(ビデオ通話)で繋ぐ取り組みや、講演活動を行った。

だが、この児童労働には「誤解」も多い。本記事ではこの誤解を解き、児童労働に対する理解を深めたい。

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バングラデシュ首都ダッカ市内の駅で働く子供たち(筆者撮影)

 

「子供が働くこと」の全てが悪であるわけではない

国際条約の定義では、15歳未満(途上国は14歳未満)の子供が教育の機会を剥奪されながら働くこと、また18歳未満の子供が従事する危険で有害な労働を「児童労働(Child Labor)」と定義している。

子供が働いていれば全て児童労働というわけでは決してなく、健康に悪影響を与えない労働や、子供から教育の機会を奪わない労働に関しては「子供の仕事(Child Work)」として考えられ、児童労働とは区別される。この「子供の仕事」は、子供の成長や家族の絆を深めるという意味で、子供にポジティブな影響を及ぼすとまで考えられている。

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ゴミ拾いの仕事に従事するバングラデシュの少年(筆者撮影)

 

 児童労働は発展途上国だけの問題ではない

児童労働に従事する子供の数が最も多いのは、アジア太平洋地域の約7770万人、また児童労働に従事する5歳から17歳の子供の割合が最も高いのは、サハラ砂漠以南アフリカの約21%と言われている。このデータからも、「児童労働は発展途上国だけの問題」と感じるかもしれないが、決してそんな事はない。世界の高・中所得国においては約1200万人の子供が児童労働に従事していると言われている。例えば、ヒューマン・ライツ・ウォッチ発表の報告書では、アメリカのたばこ農場に労働者として雇われて長時間労働に従事し、ニコチンや有毒な農薬を浴び、酷暑で作業する16歳と17歳の子供たちの被害が明らかにされている。

 

児童労働の形態として最も多いのは農業

テレビや新聞に映し出される写真のせいだろうか、「児童労働」という言葉を聞いて、多くの人はレンガ工場で働く子供や、都市部の路上で物売りをする子供を思い浮かべるかもしれない。しかし、国際労働機関の発表によれば、5歳から17歳の子供が従事する児童労働のうち約58.6%は農業とされている。依然として発展途上国の大部分の人が農業を生業としている中、家族の一員として生計を支えるために、多くの子供たちが農業に従事している。

児童労働と一口に言っても、そこには様々な要因や当該国の文化的・意識的要因なども関係しており、これらを理解せずして「児童労働反対」の声を上げることは、時として先進国の一方的な価値を押し付けることにも繋がりかねない。また、日本に暮らす我々の周りに児童労働が潜んでいる可能性も否定できない上に、我々が日常よく使用している物が、発展途上国の児童労働によって作られた可能性もゼロでは無い。
児童労働へ反対の声を掲げることは、その禁止や廃絶に向けた取り組みの第一歩として欠かせない。しかしながら、声を上げるからにはそれ相応の「責任」を果たさなければならないのは明白であり、その最低限の責任としてまずは児童労働を正しく理解すること、これが大切ではないだろうか。

 

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