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1984の世界が到来?中国がビッグデータを使って犯罪者を未然に逮捕するプログラムを開発

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ジョージ・オーウェルの「1984年」という小説を読んだことのある読者も多いだろう。全体主義国家によって情報や行動が管理され、党に反した者は拷問にかけられ矯正されるというディストピア小説だ。

もしくは、犯罪者を未然に逮捕する監視社会といえば最近だとアニメ「サイコパス」の世界だと言った方がわかりやすいかもしれない。そんな世界が確実に近づいている。

 

ほぼ無制限の市民データへのアクセス権

中国・共産党は国営軍事請負会社である「China Electronics Technology Group 」は、一般市民の仕事、趣味、消費行動、その他の行動についてのデータを収集し、事件が起きる前にテロリストを予測するためのソフトウェア開発を進めている。

昨年12月、軍のチーフエンジニア、Wu Manqingは記者に向かってこう述べた。「テロ行為の後に、その原因を検証することは非常に重要だ」、「しかし、さらに重要なのは、次に起きる犯行を予測することである。」

7月に公表されたサイバーセキュリティ法の素案は、政府に国家の安全保障の名の下、ほぼ無制限のユーザー(市民)データへのアクセスが認められるというものだった。

また、中国政府は昨年市民の信頼性について採点する国家規模のデーターベースを構築中であることを明らかにした。

 

監視を強化するテロ対策法

1月1日に施行したテロ対策法は、報道規制の強化に加え、銀行口座や通信、Skynetと呼ばれる国の監視カメラのネットワークへの関係当局によるアクセスを認めている。

同法はテロについて「暴力、破壊、脅迫などの手段で社会をパニックに陥れ、公共の安全を脅かし、人身・財産を侵害し、国家や国際組織を脅迫し、その政治目的を実現する主張と行為を指す」と定義。テロ行為として組織的な人への攻撃や公共設備の破壊、テロの扇動、情報や資金の支援などを列挙したが、その中には「その他のテロ行為」との曖昧な項目を入れ、何をテロ行為と認定するかに当局の裁量の余地を残した。

これに対し、米国務省の報道官は「反テロ法で表現の自由や信教の自由がさらに制限される」と懸念を表明している。

 

世界各国で強まるテロ対策

先日、韓国でも反テロ法に抗議するため43年ぶりにフィリバスター(議事進行妨害)が行ったことが話題になったが、韓国に限らず世界中でテロ対策が強化されている(関連記事:韓国で問題視されているテロ対策法とは何か?)。

フランスでは、非常事態の発動要件緩和など大統領権限を強化する憲法改正を行うか議論が行われており、その改正案に、テロに関与した二重国籍者からのフランス国籍剥奪、テロ容疑者らの移動制限強化などが盛り込まれ、こちらも議論が進んでいる。

日本も「共謀罪」など何度もテロ対策法案をつくる動きはあるが、日本弁護士連合会を中心に反対の声も強い。

だが、一般市民の銀行口座だけではなく、趣味や消費行動までデータ収集しようとしているのは中国だけだ。中国のテロ対策法は2014年に多数が死傷したウイグル族によるとみられる襲撃事件などを受けて起草したが、パリ同時多発テロ事件が後押しする形で昨年末可決した。

「1984年」は全体主義国家に対して警鐘を鳴らしたが、テロの脅威が高まる今、プライバシーとしてどこまで国の関与を認めるかは改めて議論する必要がありそうだ。このまま安全性を高めるために国家による監視が強化され続ければ、まさかとは思うが、いつの間にか「1984年」のような世界になってしまう可能性も否定できない。

 

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