アメリカ 南米 近現代史

オバマ米大統領がキューバへ歴史的訪問。注目点は?

President_Obama_Meets_with_President_Castro
Pocket

アメリカ合衆国のオバマ大統領は20日(日本時間21日)、社会主義国であるキューバの首都ハバナに到着した。現職のアメリカ大統領としては、1928年の第30代大統領であるカルビン・クーリッジ氏以来、実に88年ぶりとなる歴史的訪問となっている。

 

54年ぶりの国交回復

1952年、クーデターで政権の座についたバティスタが、富を独占していた米国企業からの見返りで私腹を肥やし、独裁政権となっていた中、フィデル・カストロ、チェ・ゲバラらが中心となって起こした1959年のキューバ革命で同国は社会主義国化。当初キューバはアメリカとの友好関係を考えていたが、農地改革を行っていく過程で、カストロ政権は腐敗の温床となっていた米企業の資産を接収し、国営化。共産化することを恐れたアメリカはキューバの主要産業である砂糖の輸入を停止した。両国が対立を深める中、ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)が砂糖の買い付けなど経済協力の姿勢を見せたため、キューバは東陣営へと接近。両国の対立は東西冷戦へ巻き込まれ、1961年に当時のアイゼンハワー米国大統領はキューバとの国交断絶を発表した。国交断絶後、アメリカはキューバに対して禁輸措置を展開、その額は年間12億米ドルに上るとも推定されていた(ちなみにオバマ大統領が生まれたのは1961年)。
2014年12月、オバマ大統領はアメリカ-キューバ間の外交・経済関係正常化に向けた方針を発表。昨年5月29日には米国務省がキューバのテロ支援国家指定を正式に解除した。同国は1982年、南米やアフリカで共産主義テロ勢力を支援しているとの理由からテロ支援国家に指定されていた。そして2015年7月、両国は54年ぶりに国交を回復、8月にはキューバ首都ハバナで米国大使館が再開していた。

 

本訪問の目的・予定

オバマ大統領は22日までの3日間キューバに滞在。予定では、月曜日にラウル・カストロ国家評議会議長との首脳会談や公式晩餐会、共同記者会見が実施される。火曜日にはオバマ大統領によるキューバ国民向けの演説も行うことが予定されており、両国の国交回復の意義や、民主化・市場経済の重要性についても話される予定だ。その後は反体制派との意見交換、またアメリカ大リーグのレイズとキューバ代表チームの試合観戦も予定されており、アメリカ・キューバ両政府は今回のオバマ大統領訪問を人的・経済的な交流を更に拡大させていく機会とし、国交正常化の流れを加速させていく狙いだ。

 

今後の動向は?

アメリカ政府は今月15日、キューバに対する追加の制裁緩和策を発表。教育目的でのアメリカ人のキューバへの個人渡航を認めるほか、スポーツや芸能など幅広い分野でキューバ国民がアメリカで仕事に就き、銀行の口座開設や給与の支払いが受けられるようになった。
しかしながら、今回のオバマ大統領によるキューバ訪問は、両国の完全な関係改善を示すものではない。アメリカによる対キューバ制裁は未だ一部残っており、現在もアメリカ系ビジネス企業がキューバで展開できる範囲には限界がある。また、対キューバ制裁の全面解除には連邦議会での承認が必要とされており、オバマ大統領は自身の任期終了までに対キューバ制裁が全面解除される見通しは少ないという見解を示している。

未だカストロ家が力を握っているキューバとの国交正常化や公式訪問に関して、オバマ大統領はキューバ系アメリカ人の民主党員・共和党員など一部から批判も受けている。今回のオバマ大統領公式訪問、また11月の大統領選挙の結果が両国の関係改善にどのような影響をもたらすか、注目していきたい。

Pocket