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6億6300万人が汚れた水を飲む現状--水と衛生に関する日本と世界の格差

ウガンダ北部にて筆者撮影。同地では20年以上続いた紛争の影響もあり、全人口の半分以上が1日1ドル~2ドルで暮らしているとも言われている。
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1992年にブラジル・リオデジャネイロで開催された地球サミット(環境と開発に関する国際連合会議)。この会議において、21世紀に向けた行動計画としてのアジェンダ21が採択され、この中で世界水の日を制定することが勧告された。そして、1992年12月に開催された国際連合本会議において、翌年の1993年から毎年3月22日を世界水の日にすることが決定された。国連は加盟国に対して、水資源の開発・保全やアジェンダ21の勧告の実施に関する普及啓発など、この日に各国で活動を行う事を進めている。

2000年9月にニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミット。この場で採択された国連ミレニアム宣言を基に、開発分野における国際社会共通の目標としてミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: 以下MDGs)が掲げられ、昨年2015年にその達成期限を迎えた。

(関連記事:国際女性デー(3月8日)―ジェンダー平等推進に向けた世界の歩み

MDGsの7つ目のゴールとして「環境の持続可能性確保」が掲げられ、その具体的なターゲットとして「2015年までに、安全な飲料水及び衛生施設を継続的に利用できない人々の割合を半減する。」が設定されていた(ターゲット7.C)。水と衛生に関する、25年間の世界の歩みを概観する。

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(バングラデシュにて筆者撮影。バングラデシュでは地下水のヒ素汚染が全国的な問題になっており、特に路上生活者の場合は清潔な水の入手が難しく、その被害を被りやすい。)

 

6億6300万人が汚れた水を飲んでいる現状

国連ミレニアム開発目標2015報告書によれば、1990年から2015年にかけて、改良された飲料水源を利用できない人の割合は24%から9%へと減少し、当初のターゲットを大幅にクリアする結果となった(2010年時点で達成)。1990年以来水へのアクセスを確保した26億人のうち、19億人が水道水の水を利用している。同時に、表流水(陸水のうち河川、湖沼の水のようにその存在が完全に表地面にあるものをいう)を利用している人の数は全世界で3億4600万人から1億5900万人へと、半分以上減少した。

地域別に見ると、東アジア、ラテンアメリカ、カリブ海沿岸諸国、東南アジア、南アジア、西アジアにおいて改良された飲料水源を利用できない人の割合は、1990年と比べて半分以下に減少している。サハラ砂漠以南地域ではMDGsのターゲットには達しなかったものの、改良された飲料水源を利用できる人の割合は20%増加している。

その一方で、2015年時点では全世界の推定6億6300万人の人々が改善された水源を利用することが未だに出来ずにおり、その内半分がサハラ砂漠以南アフリカに、20%が南アジアに暮らしているとされている。

 

24億人が衛生的なトイレを利用できない現状

衛生設備へのアクセスに関する25年間の世界の歩みを見てみると、1990年から2015年にかけて、改善された衛生設備を利用できない人の割合は46%から32%へと減少、実に全世界で21億人の人々が改善された衛生設備を利用できるようになり、屋外排泄をする人の割合は全世界で24%から13%へと大きく減少した。

地域別に見ると、カフカス・中央アジア、東アジア、北アフリカ、そして西アジアにおいて、改善された衛生設備を利用できない人の割合は半減している。

一方、2015年時点では未だに全世界で24億人の人々が衛生的なトイレを利用することが出来ずにおり、その内9億4600万人は屋外での排泄を続けている。

 

今月15日、国連は水や衛生設備への普遍的なアクセスを実現していくための資金として、年間約21億ドルが不足していることを発表した。

清潔な水や衛生設備の不足から引き起こされる病気(下痢やコレラなど)によって、毎日5歳以下の子供800人が亡くなっている。私がこれを書いている今この瞬間にも、あなたがこれを読んでいる今この瞬間にも、幼い子供たちが本来防げるはずの病気で死んでいってるかもしれない。

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(ウガンダ北部にて筆者撮影。ウガンダ北部では1980年代から20年以上にわたって続いた紛争の影響もあり、5人に1人の子供が5歳の誕生日を迎える前に亡くなるという現状が残っている。写真の双子のこの先を、どうしても考えてしまう。)

 

「蛇口をひねれば、綺麗な水が出る」

日本で当たり前のこの事実は、世界、とりわけ発展途上国の現状から考えれば信じられないような話だ。

水や衛生設備へ1$投資すると、そこから産み出される社会的・経済的利益は約4$になるとも言われている。世界水の日を一つのきっかけとして、日本の当たり前と世界の現状に目を向けたい。

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