ヨーロッパ 安全保障

<ベルギー同時テロ>なぜヨーロッパで度々テロが起きるのか?

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22日、ベルギーの首都ブリュッセルの空港と地下鉄で同時テロが起こり、少なくとも30人が死亡した。攻撃後にはISが犯行声明を発表。ブリュッセルはEUとNATOの本部があり、欧州政治の中枢だ。去年には二度フランスで大規模なテロが起こり、デンマーク・コペンハーゲンで連続銃撃テロ事件、ロンドンの地下鉄でもテロ事件が起こっている。しかし、なぜ欧州でこんなにテロが多発しているのだろうか。

(関連記事:なぜフランスはテロの標的になりやすいのか?

 

対ISへの空爆

まず考えられるのが空爆参加国であるということだ。米国と筆頭に多国が有志連合に参加しており、イギリス、フランス、オーストラリア、ベルギー、デンマーク、オランダ、UAEなどが参加している。

 

立地の良さ

欧州でテロを起こしている若者は、シリアに向かい再び母国に戻ってくるケースもしくはネット上でISに共感するケースがある。後者であれば特に立地というのは関係ないが、実際多いのは前者だ。遠方からISに参加している外国人戦闘員のほとんどが欧州からとなっている。そして、シリアで訓練された「戦闘員」が欧州で組織的にテロを起こしている。

 

http://indy100.independent.co.uk/article/isis-in-five-charts--ZyEuJ0Z4Fx
http://indy100.independent.co.uk/article/isis-in-five-charts–ZyEuJ0Z4Fx

 

また特にベルギーはシェンゲン協定に加盟している上、フランス、ドイツ、イギリスに行きやすく拠点になりやすい。

 

インパクトのデカさ

ISは空爆に押し込まれ、組織が縮小しつつある。さらにネット規制などにより外国人戦闘員のリクルートも難しくなってきており、制裁によって資金源も細くなってきている。こうした状況に対し、より目立てるようにインパクトのある場所でテロを起こす可能性は高まっている。

 

移民の多さ

欧州からISに参加する若者が多いことと関連するが、欧州には移民出身の住民が多い、イスラム過激主義のセル(テロ組織の小集団)を抱える地区がある。パリ同時テロではモロッコ系住民の多いベルギー・モレンベックの住人が数人参加した。

昨年には110万人以上の難民が欧州に入国し、今年も既に13万人以上が入国している。現時点ではどうなるかわからないが、難民が欧州に馴染めず、不満を高めていけば、犯罪、テロ行為を起こす可能性は否定できない。また、難民に紛れてイスラム過激派が混じっている可能性もある。

 

シェンゲン協定

国境検査が撤廃され、メリットも大きいシェンゲン協定だが、テロリストの移動も自由化してしまっている。さらに、イタリアマフィアがISの武器を提供しているという情報もある。こうした状況で既に国境検査を再開する国が続出しており、欧州の理念が失われつつある。

6月にはイギリスでEU離脱の是非を問う国民投票が行われるが、今回のテロは離脱に向けて追い風となるだろう。また、フランスの53%、ドイツ、スペイン、スウェーデンの45%以上がイギリスに習い国民投票を希望している。

 

ベルギーでテロが起きた理由としては、今まで述べてきた内容に加え、イスラム系住民に対する治安取り締まりの甘さ、情報機関の弱さ、武器の闇市場など様々な理由がある。シリアに渡った外国人戦闘員で国民1人当たりの割合が欧州で最も高いのはベルギーだ。

一方、欧州では銃規制が強化され、銃の入手が難しくなっているが、今回のように、安価・容易に製造できる小型の爆弾まで防ぐのは現実的に難しい。

欧州を「崩壊」に向かわせ、最もインパクトがあるのは国民投票前のイギリスだろう。シェンゲン協定にも参加しておらず、昨年末のテロ以降、警戒を特に強めているが、次のテロ候補としてイギリスを狙う可能性は最も高い。実際、ISが400人を訓練し、テロ攻撃を実施させるために欧州諸国に派遣したと海外で報道されている。欧州は既に戦争状態にあると言っても過言ではない。

 

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