中東 安全保障

<シリア>パルミラ奪還、しかし遺跡には大きな被害。一方、大きな役割を果たすロシア

220px-Palmyra_SYRIE_398
Pocket

27日、シリア政府軍はロシア軍の空爆支援を受け、ISの支配下にあった中部の世界遺産・パルミラ遺跡を奪還した。死者がIS側に400人、政府軍に180人と最大規模の死者数となった。パルミラは東西を結ぶ軍事戦略上にも重要な場所となっており、今回の勝利は大きい。ただ、遺跡は破壊され、修復や復元に向けて専門家が調査を進めることになっている。

 

ボロボロになるシリア

停戦が続き、ロシア軍の一部が撤退するなど解決の目処が立っているシリアだが、既に街中はボロボロだ(関連記事:ロシアはなぜシリアから撤退したのか?)。2011年1月から始まったシリア内戦はこれまでに27万人以上の犠牲者を出し、人口の半分以上が故郷を追われ、その内400万人以上が国境を越え難民としての生活を強いられている。

今回奪還に成功したパルミラは、シルクロードの交易で栄えた古代ローマ時代の都市で、偶像崇拝を禁止するISに昨年5月に制圧されると、遺跡を次々に破壊、世界遺産が危機に瀕していた。

遺跡を破壊するISの戦闘員 http://www.aljazeera.com/news/2015/07/isil-looting-heritage-sites-syria-iraq-palmyra-150703010527634.html
遺跡を破壊するISの戦闘員
http://www.aljazeera.com/news/2015/07/isil-looting-heritage-sites-syria-iraq-palmyra-150703010527634.html

 

また、ドローンが撮影したシリアの様子を見れば現状の悲惨さがよくわかる。

 

大きな役割を果たすロシア

そして今回のパラミア奪還で注目すべき点がもう一つある。ロシアの協力だ。政府軍はロシア軍の空爆の支援を受けてパルミラ攻略を進め、アサド政権にとって欠かせない存在となっている。

また、ロシアのプーチン大統領は27日アサド大統領と電話会談を行い、祝意を伝えた上で、「ロシア軍の主力の航空部隊は撤退したものの、今後も残っている部隊がテロ組織が制圧した地域の奪還に向けて支援を続ける」と述べた。さらに、プーチン大統領はユネスコのボコバ事務局長とも電話会談し、ロシアがシリア軍と共にパルミラ遺跡を奪還したと報告するとともに、遺跡の被害の調査や復元に向けて協力する姿勢を示した。

当然、ロシアはパルミラ奪還を強くアピールしており、存在感を強めている。

 

関連記事:

イエメン一時停戦で合意、クウェートで和平協議開始へ-追い詰められる国内避難民たち

イスラム国は「ジェノサイド(大量虐殺)」に関与、アメリカ政府が発言。注目すべき点は何か?

Pocket