日本 経済

【4月6日の国会】TPP特別委にて趣旨説明。その中身とは?

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5日に衆議院本会議で審議入りした環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の承認案と関連法案について、6日は、7日の審議に向けて趣旨説明がなされた。だが、5日に内容が全て黒塗りされたTPPの交渉資料が、自民党から衆議院TPP特別委員会の理事懇談会に提出されたことに加え、高鳥修一内閣府副大臣が5日夜のTPPの関連会合を欠席したことに対し民進党から反発があり、特別委員会の開会が5時間あまり遅れた。本記事では、政府からなされたTPPの趣旨説明の内容を見ていきたい。

(関連記事:【4月5日の国会】TPP法案が審議入り。何が話された?

特別委員会では、まず岸田外務大臣が、TPPの承認案の提案理由を「日本企業の海外展開を促進する」「アジア太平洋地域の国々との関係が一層緊密化し、ひいてはこの地域の平和と安定に大きく寄与する」等と説明した。その後、石原国務大臣から、「著作物等の保護期間の延長等の規定の整備」「牛・豚の生産者に関わる経営安定を図るための規定の整備等を行う」などと関連法案の要旨説明があった。以下に、岸田外務大臣と石原国務大臣の説明全文を掲載する。

 

経済的利益とともに、アジア太平洋地域の平和と安定をもたらす

岸田外務大臣:

だだいま議題となりました、環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由をご説明致します。政府は、平成25年7月から、この協定の交渉に参加しました。その結果、本年2月4日に、ニュージーランドのオークランドにおいて、12カ国の代表者により、この協定の署名が行われた次第であります。

この協定は、物品およびサービスの、貿易並びに投資の自由化および円滑化を進めるとともに、知的財産、電子商取引、国有企業、環境等、幅広い分野で新たなルールを構築するための、法的枠組みについて定めるものであります。具体的には、市場アクセスに関し、我が国については、農産品の重要5品目を中心に、関税撤廃の例外を数多く確保しつつ、我が国の輸出を支える工業製品については、11カ国全体で、99.9%の品目の関税撤廃を実現します。また、原産地規則、税関手続き、ビジネス関係者の滞在、知的財産、電子商取引等に関するルールの整備等により、中小企業を含めた、日本企業の海外展開を促進するものであります。

この協定の締結により、アジア太平洋地域に自由で公正な一つの経済圏が形成され、世界のGDPの約4割と、約8億人の人口からなる巨大市場が作り出されます。また、多様な企業・産業間の連携や、イノベーションが促進され、我が国を含めたアジア太平洋地域全体の生産性が向上することが期待されます。さらに、この協定には、経済的利益を越えた、長期的な戦略上の大きな意義があります。我が国の同盟国である米国をはじめ、価値を共有する国・地域とともに、21世紀にふさわしい新たな自由・公正で開かれた国際経済システムを作り上げていくことにより、アジア太平洋地域の国々との関係が一層緊密化し、ひいてはこの地域の平和と安定に大きく寄与するという戦略的価値を有するものです。よってここに、この協定の締結について、ご承認を求める次第であります。何卒ご審議の上、本件につき速やかにご承認いただきますようお願い致します。

 

必要な関係法律の規定の整備を、総合的・一体的に行う

石原国務大臣:

ただいま議題となりました、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案理由および要旨をご説明申し上げます。この法律案は、環太平洋パートナーシップ協定を締結し、これを実施するため、必要な関係法律の規定の整備を、総合的・一体的に行うものでございます。

次に、本法律案の要旨をご説明申し上げます。

第一に、関税暫定措置法等を改正し、原産地手続きおよびセーフガードに関わる手続き等の規定の整備を行うこととしております。

第二に、知的財産の適切な保護を図るため、著作権法等を改正し、著作物等の保護期間の延長等の規定の整備を行うこととしております。

第三に、医薬品・医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律を改正し、外国にある登録認証機関の監督等の規定の整備を行うこととしております。

第四に、私的独占の禁止および公正取引の確保に関する法律を改正し、競争上の問題を合意により解決するための制度に関する規定の整備を行うこととしております。

第五に、畜産物の価格安定に関する法律等を改正し、牛・豚の生産者に関わる経営安定を図るための規定の整備等を行うこととしております。

第六に、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律を改正し、国際約束により諸外国と相互に農林水産物等の地理的表示を保護できる規定の整備を行うこととしております。

この他所要の規定の整備を行うこととしております。以上がこの法律案の提案理由およびその要旨です。何卒、慎重ご審議の上、速やかにご賛同くださいますように、お願いを申し上げます。

 

衆議院インターネット中継より

 

承認案の提案理由として、中小企業を含む日本企業の海外進出の促進が挙げられた。関税の撤廃をはじめとした種々のルール整備によって、確かに海外展開の素地は整備されるだろう。一方で、特に中小企業の海外進出については、進出先での販売先や人材の確保等、様々な困難があり、更なる支援がなければ政府が期待する結果にまでは結びつかないようにも思う。

TPPの関連法案では、あらゆる分野の法改正案が盛り込まれており、要旨説明の中で挙げられた他にも、重要な論点があることを忘れてはならない。例えば、ISD条項や、混合診療解禁のリスクなどは、かねてより指摘されている。審議においては、多様な視点から各論点について議論を行っていく必要がある。

今日と明日に予定されている委員会では、質疑と答弁において、法律案の詳細にまで議論が及ぶことを期待したい。

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