日本 経済

【4月15日の国会】地方創生特別委。地方創生の現状は?

Showa_no_Machi_09
Pocket

15日、国会では衆議院地方創生特別委員会が開かれた。14日の衆議院本会議では、地方分権改革が話題にのぼったが(関連記事:【4月14日の国会】政府が進める地方分権改革の中身とは?)、地方分権改革以外にも、地方創生のために取り組まれている施策は数多くある。安倍内閣が地方創生を発表して約1年半になるが、その現状はどうなっているのだろうか。本記事では、特別委にてなされた、おおさか維新の会・椎木保議員の質疑と、それに対する答弁を中心に、地方創生に向けた政府の取り組みとその現状を見ていきたい。

 

幅広い分野にわたる施策

はじめに質疑を行った自民党・山田賢司議員は、国家戦略特区の効果を尋ね、それに対し、佐々木地方創生推進事務局長からは、兵庫県養父氏で農業分野の規制改革などによって市街からの進出企業が増加した例などが挙げられた。また、文化財やスポーツを利用した地域活性化への取り組みについても質疑と答弁が行われ、「地域のスポーツチームの活動拠点となる、また、地域住民がともにプレーすることでコミュニティの形成の場となるスポーツ施設が各地に適切に整備されることが重要」と述べられた。石破地方創生担当大臣からも、「文化、芸術、芸能等々、そこが持っている力っていうのは相当なものがあると思っています。」と答弁があり、それらの重要性が強調された。

おおさか維新の会・椎木議員は、冒頭で熊本地震の被災者へのお見舞いの言葉を述べた後、地方創生に対する政府の取り組みとその現状について質疑を行った。以下は質疑とその答弁の全文。

 

マッチングをきちんと行うということが第一

おおさか維新の会・椎木議員:

それでは、質問に入ります。

政府は、地方への多様な支援と切れ目のない施策の展開という視点から、人的支援として、昨年度より自治体の地方創生の取り組みを支援するために、人口5万人に満たない小規模市町村に対し、当該地域に応じた処方箋作りを支援する目的で、中央省庁の官僚や、大手企業の社員を派遣するという、地方創生人材支援制度を創設しました。また、市町村等の要望に応じ、当該地域に愛着、関心を持った意欲ある省庁の職員を相談窓口として選任する、地方創生コンシェルジュ制度もスタートさせました。まだ始まって間もない制度ですので、具体的な成果が直ちに現れるということはないかもしれませんが、地方創生人材支援制度については、受け入れ自治体の反応や、派遣された方々の感想等、地方創生コンシェルジュ制度については相談件数や相談内容等、状況を教えていただきたいと思います。

 

佐々木地方創生推進事務局長:

まず私の方から地方創生コンシェルジュについてお答えをさせていただきたいと思います。地方創生コンシェルジュにつきましては、お話にありましたように、27年2月末に構成された制度でございまして、まだ1年1ヶ月ちょっとということでございます。この間に私どもに相談の報告があった件数は、370件ということになっておりまして、都道府県から57件、市町村から296件でございます。この1年間ということでございましたので、地方版総合戦略の策定でございますとか、地方創生関係の交付金の活用に関するお問い合わせが多かったわけでございますけども、一般的には公共団体がやろうとしている事業に対して、どういった補助制度が使えるのかとか、そういったご質問が多いというふうに承っております。以上でございます。

 

石破地方創生担当大臣:

コンシェルジュについては今お答えを申し上げた通りであります。いわゆるシティマネージャー、地方創生人材支援制度でございますが、ご指摘のように原則5万人以下というところへ出させていただきました。平成27年度は69市町村、28年度は58市町村に派遣をするということで進めて参ったものでございます。これは何度もお答えしたと思いますが、欲しくもないとこに出してもしょうもありませんので、どこがそういうものを求めていますかと。なんでもいいから中央の政府に顔の利くスーパー役人みたいなものを欲しいなんて言われても困るので、何をやりたいですかと。そのためにどんな人がいりますかというニーズを承り、そして我々の側も、俺が東京から行って教えてやるぜ、みたいな人は行かなくていいので、自分としてこういうのやりたいんだと。本当に市町村の方々と汗を流してやっていきたいんだという人。そのマッチングをきちんと行うということが第一でございます。そして、四半期に一度東京に集まってもらって、実際にどうなのか。行ってみてこんな悩みがある。こういうふうなことが難しい。そういうのをお互いに意見交換をし、私ども政府も中に入り、また私どもの担当の者も入って、相当な時間議論をいたしております。そしてまた常に、メール等々で色んな相談も受けつけるという形をとっております。これは全て万々歳みたいなことを言うつもりはございませんが、かなり良いご評価をいただいていると思っております。私どもとして、とにかく送りっぱなしということをしないように、この4月にも色んな者が赴任をいたしましたが、私、また副大臣、補佐官、政務官で手分けをして、市長さん、町長さん、村長さんにご連絡をして、宜しくお願いしますよということを申し上げ対応しておるところでございます。大阪におきましては平成27年度、高石市に厚生労働省から、岬町には国土交通省から派遣をしておるところでございまして、また委員が色々なことをお聞き及びになりましたらお教えいただければ幸いに存じます。

 

プロジェクトを実際に経営・実行していくような人材を育てる

おおさか維新・椎木議員:

次に、地方創生カレッジについて質問いたします。先般、石破大臣から、まちづくりなどの知識をインターネットで学ぶことができる、地方創生カレッジを年内に開校するとの発表がありました。新聞記事によりますと、5年間で500人以上の専門家を育成し、自治体の首長の補佐役や地域のリーダーとして、地方創生に関わる人材の輩出につなげていきたい考えだと報道されています。私自身、地方創生を推進していく肝は、優秀な人材の確保と育成だと確信しておりますので、この度の地方創生カレッジ事業には大いに期待はしております。

そこで、地方創生カレッジについて何点かお尋ねいたします。現在、自治体の幹部を養成するという目的で運営されている、自治省所管の自治大学校がありますが、この自治大学校との違いはなんなのでしょう。

 

間宮地方創生推進事務局審議官:

お答えいたします。自治大学校は今お話がございました通り、地方公務員の総合的な政策形成能力や行政管理能力を育成することを目的として作られた、地方公務員に対する国の研修機関でございます。一方、今般創設を予定してます地方創生カレッジにつきましては、もちろん地方公務員の方も対象になると思いますけれども、自治体の地方版総合戦略に基づき各地方公共団体がこれから具体的な事業を本格的に実施する段階に入りまして、そういった事業そのものの推進に必要な、高度な専門性を有する人材、民間の人材の確保・育成、そういったものも視野に入れてやっていこうというふうに考えているところでございます。

 

おおさか維新・椎木議員:

それでは、地方創生カレッジの受講者、これはどのような人が対象なのか。あるいは、どのような人が受講生となることを想定しているのか。お答えをお願いします。

 

間宮地方創生推進事務局審議官:

お答えいたします。地方創生カレッジにつきましては、地方公務員のみならず、民間の地方創生の志のある方々を受講生として想定してございます。そういった受講生につきまして、高度な自治体の戦略の立案に資するような、関係者からの合意を得る、高度な専門性を有する人材の育成ですとか、あるいは観光DMO・まちづくり、そういった個別の事業・プロジェクトに精通して、そういったプロジェクトを実際に経営・実行していくような人材を育てていきたいというふうに考えてございます。

 

おおさか維新・椎木議員:

今の答弁ですと、今の答弁のような方がその受講生となることも想定してるということでよろしいでしょうか。

 

間宮地方創生推進事務局審議官:

お答えいたします。そういったプロジェクトの実施、あるいは自治体の戦略に貢献したいと考えておる人材を広く対象として、このカレッジの受講生として受け入れたいというふうに考えているところでございます。

 

おおさか維新・椎木議員:

それはどのようなカリキュラムが今準備されているんでしょうか。

 

間宮地方創生推進事務局審議官:

お答えいたします。具体的なカリキュラムにつきましては、今後、実際にそういった人材、どのような人材がいてどのようなニーズがあるか、といったものを自治体あるいは民間の事例等々をスタディしながら調査してカリキュラムを作ると考えておりますけれども、そのカリキュラムの目的とするところとしましては、実際に地方で活躍したいと思われている人材の方々が、自ら不足していると思う分野、あるいはそういった科目・課程、そういったものを学べるようなカリキュラムとしたいと考えておりまして、実際に地方自治体の行政官、あるいは志のある民間の若い方々にとって実地で役立つものを考えております。まだ具体的な内容はこれからですが、例えば、地方創生に関する各分野の第一人者などによる講義ですとか、あるいは、DMO・生涯活躍のまち・まちづくり、こういった個別分野に関する専門の講座、あるいは、まちづくりそのものの基礎講座みたいなものを作っていきたいと考えております。

 

定住・定着をできるだけ支援

おおさか維新・椎木議員:

時間もありませんので、もうちょっと聞きたいこともあるんですが、次の質問に入らせていただきます。次に、地域おこし協力隊について質問いたします。総務省が音頭をとって始まった地域おこし協力隊という制度があります。簡単に言えば、都市部から、人口減少や高齢化等が進行する過疎地に移住して、まちづくりに貢献するという制度です。地方創生の流れの中で、自治体のニーズも高まっていると聞いています。平成21年に制度化されて以来、平成27年度の隊員数は約2600人になったということですが、隊員の期間は1年から3年となっており、自治体に対しても、国からの報酬費や活動費等の財政支援がなされていますが、隊員の方たちが3年を越えた後でも、その地域に住み続けることのできるような仕組み作りも必要ではないかと思います。現状どのようになっているのか。あわせて、支援の拡充について今後どのように考えているのか、答弁をお願いします。

 

原田地域力創造審議官:

お答えいたします。地域おこし協力隊は、平成21年度に創設された制度でございますが、平成27年度には2625名、受け入れ自治体も673自治体と、大幅に増加をしているところでございます。また、隊員の4割が女性であり、女性の活躍も目覚しいとともに、20代30代の隊員の方が、約8割を占めているというような状況でございます。先生から今御指摘のありました、任期終了後の定住・定着でございますが、昨年実施した調査によりますと、隊員の6割は任期終了後も引き続き同じ地域に定住しておりまして、同一市町村内に定住した方の約2割はその地域で起業をしております。隊員に対するアンケートでは、任期終了後にもその地域に定住していく上での課題としまして、活動資金の確保、技術・知識の習得などが挙げられております。そのため私どもも、任期中から商工会やJAなど地域のキーパーソンと円滑な関係を築いておくことや、任期後の活動計画の具体化を進めておくことが重要であると認識しておりまして、そのような情報も提供してるところでございます。私どもとしましては、隊員としての期間中から、隊員向けの研修会・交流会を開催したり、色んな悩み事にお答えする「地域おこし協力隊サポートデスク」というものも作りまして、支援をしようとしております。また加えて起業を支援するために、特別交付税による様々な経費の支援、あわせまして本年度からはふるさと納税を活用した、隊員の起業を応援する仕組みであります、クラウドファンディング官民連携推進事業、このようなことによりまして隊員の起業を支援し、定住・定着にできるだけ支援をして参りたいと思っております。いずれにしましても、色んなニーズを踏まえながら、隊員の方が任期終了後も定着していただけるよう、今後ともサポートして参りたいと考えております。

 

おおさか維新・椎木議員:

今の答弁の通り、しっかりサポートしていただきたいと思います。私もこれは非常に良い、成果のあがるものだと確信しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。最後になりますけれども、大和総研の経営コンサルティング本部がまとめた「『地方創生』をいかに成功させるか」というレポートをちょっと拝見したんですけれども、中身は、ローカル志向という時流を追い風に、成功モデルを作り上げるための地方の前向きな取り組みと、人材面、財政面など、国の的確な支援をリンクさせることが地方創生を成功させるポイントであると指摘されておりました。まさしく私もその通りだと思います。地方創生には、地方のやる気と、国のバックアップ体制が何よりも重要。私もこの地方創生特別委員会で何度もお話してますけども、希望して入った委員会ですし、今後も国政に携わる者の一人として、真摯にこの地方創生に関与していきたいと思います。

さらに、ちょっと余談ですけれども、昨日の本会議においても地域再生法の一部改正法において、多くの野党が反対する中で我が党は賛成という態度をとらせていただきました。ただこれは、決して自民党を応援するとか補完するとかではなくて、全ては国民にとってプラスと判断しての我が党の判断ですので、今後も、これまで私が事前にヒアリングを受けている法案についても、まさしく肯定する部分はあっても否定する部分はないというふうに、私も党の部会長なんですけれども、判断してます。引き続きそういう認識のもとでしっかりこの特別委員会、大臣とともに頑張って参りたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。以上で終わります。

衆議院インターネット中継より)

 

地方創生への取り組みは始まったばかりのものも多いが、石破大臣の所感としては、概ね高い評価を得ているようである。地方創生派遣支援制度によって派遣された方々を集めた情報共有の場を持つなど、PDCAを意識した取り組みが行われているのは心強い。一方で、こうした取り組みを長期的な目線で評価し続けていくということも重要である。今回の答弁の中でも、地方創生コンシェルジュへの相談件数や、地方創生人材支援制度を利用して人材が派遣された市町村数などが示されたが、それらの数字の増加は長期的なゴールではない。数年に一度は必ず選挙があるという点では仕方のない面もあるが、我々有権者も含めて短期的な数字にこだわり過ぎることなく評価していくことが肝要であろう。

 

関連記事:

【4月13日の国会】国会で語られた震災復興の現状と課題

おおさか維新の会はどのような憲法改正を行おうとしているのか?

Pocket