日本 選挙

「自民党オープンエントリー」ファイナリストに聞く、参加動機、参加して感じたこと

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ネット選挙が解禁され、徐々に選挙情報をネットで取得する環境が出来つつある昨今だが、自民党が2016年7月に予定されている参議院議員選挙に向けた新しい取り組みを始めている。参院選公認候補者の選考過程をオープンにし、有権者が候補者選びに参加できる、「オープンエントリー」プロジェクト。だが、インターネット投票を見据えた重要な試みにも関わらず、認知度はあまり高くなく、その意義もあまり伝わっていない。そこで国会議員秘書として政治を間近に見て、実際にファイナリストにも選ばれている浅田恵理氏荻野浩次郎氏に、「オープンエントリー」に参加した動機、また、参加して感じていることを聞いた。(4月26日、取材・文:Platnews編集部)

 

――今は2人とも秘書として働かれていますが、そもそもどうして政治に関心を持ったんでしょうか。

浅田恵理(以下、浅田):

私が政治に興味を持ち始めたのは今から5年くらい前です。それまでは民間企業で働いていて、ほとんど無関心層に近く、ニュースで見る程度でした。その後、なぜ政治に目が向いたかと言うと、当時私は香港に住んでいたんですけど、民主党に政権交代して、菅(直人)さんが「最小不幸社会」の実現と言って総理大臣になった。何も知らない私から見て、最小だろうとなんだろうと不幸を実現するような人が総理になる国なんだ日本は、というのがショックだった。そういう人がトップに立てるという日本の状況にもショックだった。それから、この人たちは一体何をしている人たちなのかなというふうに興味を持ち始めた。素人ながら、民主党政権の不安定さというか、このままではいいと思えないと感じて。黙って見ているよりは自分も参加する方がいいんじゃないかなということで、自民党の門を叩いた。それからいきなり秘書になれたわけではなくて。秘書になるのにも、大抵はツテが必要になりますが、今まで政治に関わったことがないのでツテがなかった。そこで自民党の政治塾に通って、そこにいた人たちからご紹介されたある選挙区のところでボランティアをして、寒い日も暑い日もビラを配るとか、そういう政治家としての基本的なことを教えてもらいました。その後、2012年ある選挙区で手伝わないかと声を掛けて頂いて、選挙を手伝いました。そして、その人に秘書にしてもらいました。中に入ったのはそれからです。

 

荻野浩次郎(以下、荻野):

僕は高校が国立の附属で、大学に行くか悩んだんですが、高校出る時からコンピューターに詳しかったので大学に行かなかったんですね。特に勉強することないんじゃないかと。その頃からウェブ屋みたいなのを始めて仕事していたんですが、20歳ぐらいの時に、アメリカに行ってる友人にフラフラしているんだったらすぐに来いと言われて。「じゃあ行くわ」と言って、アメリカに1年いて、9.11の直前に帰ってきたんですね。帰ってからもウェブ屋の続きをやっていたんですが、当時、3人の会社だったんですけど、僕は最年長だったから社長をやっていたんです。僕の仕事は社長、ユーザーインターフェイス、今でいうデジタルサイネージの製作と、プログラミングは他の人がやって。我々が作りたいと思うものを作っていて、それを買ってくれる人がいたから売っていたんですが、僕含め技術オタクだけでできた会社だったので、モノを作って売ればそれだけで満足で。それをもっとビジネスモデル化して稼ぐとかそういう発想がなかったんですよ。だから、将来の展望もあまり抱けなくて、どうしようかなと思っているうちに、じゃあ1回この辺で解散しようかと。それが28歳の時。

話は変わりますが、僕は元々、父の影響で小さい頃から政局が好きだったんですよ。子供が野球選手年鑑見て打率を覚えるような感じで、父もそういうのがすごい好きだったので、それを小さい頃から聞いてた。それと同時に僕は政局だけではなく政治的なもの、そういうものにも興味があったんです。ITでずっとやってきた人間だったんですが、28歳でもう1回人生を考えようってなった時に、政治やるかと思いまして。政治やるならちゃんと政治学から勉強した方がいいかなと思い、早稲田の政治学科に通いました。それはさっきの浅田さんと一緒なんですけど、政治学の勉強をするという目的が一つ、もう一つはやっぱりツテを作るというのがありました。ツテはやっぱり正解でした。大学は基本的に子供しかいませんので、30歳の学生って先生にとってはすごい使い勝手がいいんです。しかも僕は一応社会人経験あるので。先生の代わりに議員会館に何度か行ったりしているうちに、今仕えている議員の秘書も含め、秘書の方々らと親しくなりました。2012年に僕は卒業したんですが、その年の年末に総選挙があったので、そのツテで手伝うことになって。そのまま当選した人の秘書をやるのかなと思ったら、結局、違うところに。結果的には良かったです。今仕えてる山田賢司(自民党・衆議院議員)と僕は本当に偶然の出会いだったんですが、政治信条みたいなものはびっくりするぐらい一緒でした。山田の持つ興味は僕の持つ興味だし、僕の持つ興味は彼の興味でもあるので、すごいいい感じにやれてるなあと。

 

――早稲田ではどういうことを勉強したんですか?

荻野:

田中愛治という投票行動の先生が指導教官で。人はどういうふうにして投票に行くのかということを学びました。政治学を学んだ後は、政治の勉強をしようと思って政治の現場に来たんですけど、全然違う。

 

秘書は何でも屋

――秘書の仕事はどういうことをしているんでしょうか?

浅田:

何って説明が難しくて、要するに何でも屋なんですよ。

荻野:

秘書によって、事務所によっても全然違うと思いますよ。

浅田:

1日の流れを言うと、だいたい朝8時の部会に出まして、これに出てくれって言われてる場合もあれば、自分が出たいものに出ることもある。

 

――議員とは別にということですか?

浅田:

代理出席ということもあれば、傍聴したくて行くのもある。部会には色々な種類があって、勉強会って位置づけのものと、法案審査っていうものとか、色々ある。

荻野:

朝の8時から大体5、6個並行されてあるんですよ。

浅田:

本人が出たいのが重なった時に、もう一方に出ておいて後で報告することもあれば、個人的に知っておきたいものがあって参加もする。私は基本的に事務のことを全部やるような立場なので、9時には議員会館の椅子にいる必要があるんですね。だから部会は8時〜9時と9時〜10時とか1時間ごとでやっているんですけど、8時からの部会を8時40分ぐらいに切り上げて、9時には議員会館にいる。

 

――事務所はどういう体制でやっているんですか?

浅田:

うちは6人体制で、政策秘書が地元と会館。第一・第二公設秘書が地元。私設でもう2人地元にいます。私が会館で常勤の事務。政策秘書は地元が近い(東京3区)ので会館と行ったり来たり。電話がかかってきたら対応するし、お客さんが来たら対応してお茶出してとか。後はメール確認したりとか、頼まれた資料を作るとか。あと一番労力割かれるのが、郵便物のチェック。毎日、多いと20センチぐらいの厚みにもなるんですが、それを全部開けて、目を通して、仕分けして。一般の人からのもそうですし、業界団体の会報とか。あとは簡単な経理とかも。そんなことをやっていたらすぐに1日が終わっちゃうんです。

 

荻野:

僕は全然違う働き方をしています。僕も朝は部会に行くことが多いですが、写真を撮ってる。僕は写真を撮るのがすごく多いんです。だから今回「オープンエントリー」に出て、何人かの先生にカメラマンかと思ったって言われました。カメラマンかボディガードかどっちかだと思ったと。確かにどっちもそれに近い感じのことはします。議員が誰かと会う時は後ろで目を光らせて。僕はどっちかというと広報的な仕事が多いです。山田はコンピューターに詳しいことを条件に新しい秘書を探していて、「じゃあもう僕しかいないじゃん」と。ウェブサイトの話から、印刷物も僕が作ります。あとは代理で議員の代わりにどっかに行ったりとか。

 

女性議員の少なさ

――そうした中で政治家を志したきっかけは?

浅田:

女性議員が少なかったからですね。今衆参合わせて大体1割ぐらいですよね。今までは政治が「男の世界」だというイメージが強かったから、こうなってしまっているのはしょうがないと思うんです。ただこれからどうするかという話。同じものを大量に作って大量に売って、それが経済成長になった時は、別にそれでよかったと思うんです。しかし、これから、細分化というか、個々がどう生きていくかっていう時代になると、議会も多様性が必要だろうと。やっぱりルールを作る側に、女性を入れなきゃいけないと思います。女性議員が必要。

 

――女性議員の方はその辺の意識が強いですよね。

浅田:

今いる女性議員の方々はすごく苦労されてきたと思うんです。男性社会の中に入って、いかに泳ぐかっていうことを苦労してやってこられたんだと思うんです。「スカートを履いたおじさん」という言い方をする人もいますが、でもそうじゃなきゃ生き残ってこれなかったと思うから、私は彼女たちの努力はすごくありがたいことだと思ってます。だけどこれからはナチュラルな、スカート履いたおじさんじゃなくてスカート履いた女性がもっと必要なんじゃないかなと。

 

荻野:

女性議員の数はすごい言われますし、OECDでも女性が少ない方だっていうのは確かです。ただ、女性の2期の議員で政府の役職になっていない人はたぶんいないはずなんですよ。ほぼ全員政務官だったはずなんです。確かに女性議員は数が少ないです。でも、その代償として昇進のスピードが異様に早いです。浅田さんを前に非常に言いづらいけど、今回の「オープンエントリー」にしても、応募者は全部で458人、そのうち女性は77人。けど、最終的には男女が半々になっている。女性の方が優秀な人が多かったんですねっていうのが政治的に正しい答えなんでしょうけど、アファーマティブ・アクション(実質的な機会均等を実現するための特別優遇措置)が大事っていうのもわかるんですが、なんで半々になるのかよくわからない。

 

テクノロジーを語れる政治家がいない

――荻野さんが政治家を志したきっかけは?

僕はやっぱりテクノロジー大好きなオタクなんですね。さっきも言いましたけど、部会は朝にいくつか平行してあるんですよ。朝の8時にIT戦略特命部会とか行われてるのと同時に、農水のなんとか部会とか、水産のなんとか部会とか、国土強靭化となると、普通の議員はそちらに行くんですよ。ITなんて優先順位が低いんです。だけど、誤解を恐れずに言うと、ITというかサービス業しか日本が生き残れる道はないじゃないですか。今やシャープもあんなことになっちゃったし東芝もあんなだから、あんまり言えなくなりましたけど、電球から原発まで作るようなメーカーがひしめく国って日本しかなかったんですよ。だけど、そういうところに興味関心を持ってみる人間って正直ほとんどいないです。なのに、就業人口が少ない農村、農業系の部会は自民党本部で一番広い部屋使って、押すな押すなみたいになるんですよ。これは問題だろうと。僕は興味があるのでIT関連の部会にもよく行きますけど、正直言いたくてうずうずしてます。問題はそこじゃない、と。

 

――今後はIT業界というより全産業にインフラとしてITが必要になりますよね。

荻野:

その通りです。僕はその辺の業界出身の人間なので、よくわかってます。わかってるだけに、問題も感じる。例えばどこかの企業が呼ばれて好き勝手喋ると、当たり前ですが、光の面しか喋らないんですよ。けど聞く議員は初めて聞きますから、「おお、すごい」みたいな、早速それ導入だみたいな話になっちゃう。でも問題もいっぱいあるわけですよ。ここどうなのみたいな質問が、知識がないからできない。突き詰めて言うと、これだけ社会が複雑化して問題がたくさんある中で、議員の数が足りていない。これだけ問題があるんだから、議員の給料半分にして議員の数を倍増にしてもいいんじゃないかと思います。

 

――議員定数削減」についての議論も盛り上がっていますが、国民の代表者たる国会議員をなぜ減らすべきなのかよくわからない。

浅田:

たぶんお気づきの通りで、国民の声を届ける人数が減るっていうことについて国民がどう考えてるんですかっていう問いをたぶん誰もしていない。減らすのが是みたいな。

 

――費用削減など目の前の利益しか見えていないと感じてしまう。

荻野:

それがいわゆる政治的な正しさですよね。議員の数を減らすのは政治的に正しいし、保育園を増やすのは政治的に正しいっていう。本当にそれが答えなのって僕は思うんですけど。政治的に正しいと思われることしか言えない。それ以外のことは叩かれる。だって今の時代、議員が保育園減らせ、議員増やせって言ったら総スカンじゃないですか。

議員定数を減らすなら委員会の定数も減らさないといけないから、そうすると野党はすごく割りを食う。ものすら言えない委員会が多くできてしまう。野党も議員定数削減を主張していますが、それでいいんですか?と思います。

 

政治への反発

――今回の「オープンエントリー」に応募された理由を教えてください。

浅田:

私が政治に興味を持ったきっかけは政治への反発があったんです。なぜ民主党政権が誕生したかというと自民党政権に対して人々が反発したからだと思ってるんですね。自民党も当然このままじゃいけないのはわかっている。入ってみて初めて、この人たちは意外に頑張ってるというのが見えて。今回全く新しい試みをしようと言っているのであれば、今まで政治への反発をエネルギーにしていた私としては、参加するのが筋だろうと。それを黙って見てるのは、テレビの前で文句言ってるのと変わらないだろうと思いました。

 

――浅田さんは一度衆院選に出馬されて、今回は参院選ですが、そこの違いは特にないんでしょうか?

浅田:

衆議院と参議院は確かに違うんですけど、それは議院の仕組みの違いであって、私は別に議員が衆議院議員、参議院議員だからって、そこまでこういう人はこう、こういう人はこうっていうのじゃないと思うんです。国会議員は、どの議員もそうですけど、人々の声を聞いて届けるのが仕事だと思うので、その意味では大きく変わらない。けど、確かに選挙の仕組み次第で言えることが変わってきたりとか、勉強に割ける時間が変わってきたりもします。私は人と話すのが好きなのでもちろん衆議院議員も自分で向いてると思うんですけど、勉強するのも好きなので、参議院みたいにじっくり腰を据えて勉強できるのもいいし、それはそれこそ人々が決めることなのかなと思っています。

荻野:

政策決定のプロセスとして、自民党がまず党として政策をあげるわけじゃないですか。そこから先はもう教科書通りなんです。ただ、自民党の中での政策決定プロセスはあまり知られていないわけなんですが、その中においては衆議院も参議院もないんです。バッジつけてる国会議員なら変わらないんです。当選回数も年齢も関係ない。

 

――荻野さんがオープンエントリーに応募された理由は?

荻野:

政治学に「政治的有効性感覚」という言葉があるんです。自分がどれだけ影響あると思えるかという主観的な話になるんですけども、僕は今山田と色々話をして、山田はそれを参考に自分の言葉で部会で話して、それを役人が聞いて、次の会合とかにそれが耳打ちされたりするのを秘書を始めて4年くらい見ています。政治的有効性感覚が非常に高い。満足してるんですよ。自分が絶対に政治家になりたいというモチベーションは正直あまりないです。とはいってもさっき言ったように、ITの話を代弁する議員がいないから、いないんだったらやらないといけないなと思っています。そんな時に、山田がこういう話があるよと言っていたので、こっそり自分で出して、ファイナリストに選ばれました。

 

今回の「オープンエントリー」では何も変わらない

――オープンエントリー」という形だからこそ新しい政治家が生まれる可能性ってありますか?

浅田:

もっと違う形なら、具体的には、今回公開討論会を行いましたが、討論会ではなくて座談会にした方がよかったんじゃないかと思います。というのも12人が出てますけど、同じく自民党の公認を取ろうとしているので大体思想が一緒なんです。細かい政策をそれぞれが持っている感じだから、この前の討論会みたいに、質問があって答えて、質問があって答えてって一往復で終わるのを繰り返すよりも、もう好きにフリートークしちゃってくださいってやって、「荻野さんの政策詳しく教えて」「どういうこと?」「それってこうだよね」っていう意見交換を、候補者ファイナリスト12人でフリーでやった方がもっと深まったんじゃないかなと思いますね。

荻野:

ただやっぱりみんな専門が違うじゃないですか。僕と中川(幸司)さんの2人はITとかAIの話してたんですけど、すごい専門的な話を2人で話してて。

浅田:

私がそこでもうちょっとわかりやすく教えてとか聞くこともできたと思うんです。一般の人も見ててたぶんわかんなかったりする。そこで質問することでもっとわかりやすく伝わったり、深い議論もできたかもしれない。

 

――大統領選では回を重ねるごとに論点がどんどん出たりするので何度もやれればいいでしょうね。

荻野:

やるべきです。党としてもそれに我々が耐えうるのか、自信を持てなかったと思いますが。

 

――日本の政治家でできる人は少なそうです。

荻野:

僕は早稲田で最初雄弁会に行ったんです。昔からやってる弁論活動っていうのを見たんですけど、各々が好き勝手に自分の専門領域を語るんですよ。当然周りはそれに対して批評を加えるわけですが、その人の専門内容に関してみんな知らないから、外形的な批判しかできないんです。でも大統領選の討論会もそうじゃないですか。専門の話なんかできないから、人格否定とか、それしかできなくて。討論会もあんまり回を重ねると、それしかやりようがなくなって、自民党の議員のプラスにならないから、そういうのも恐れたんだろうなと思います。でも、恐れずにやるべきだと思います。

 

今回の「オープンエントリー」も、結局この12人の中からどうやって選ぶかって、票なわけです。いくらネットでの投票とはいえ、古来の選挙方法、選挙運動ができる人間が勝つんです。ネット選挙って言ってますけど、自民党の党員に関してはハガキで送れるんですよ。それを聞いた時、僕は萎えました。どこがネット選挙なんだと。だから、浅田さんが言う通り、こんなのじゃなくて、例えば、極端なこと言うと、ニコ動で一番弾幕流れた人とか、一番拍手が大きかった人とか、一番ディスられた人とか、そういう他の軸で選ばれたら、全然違う議員が選ばれるんでしょうけど。今回は従来の組織力を持ってる人が選ばれます。何も変わらないです。プロセスをオープンにしているつもりが、結局何も変わりませんでした、みたいになる。

もちろん最初の一歩としては大きかったと思うんですが、ウェブの人間から見ると、「ないな」という印象です。

 

――どうやったら発展させられると思いますか?

浅田:

とにかく分母が小さいというのをどうにかした方がいい。1回目なのでしょうがないというのもあるし、できることできないことっていうのがあるので、こういう形になってると思うんですけど。

 

荻野:

ちょっと時期も悪いですよね。今回、参院選の全国候補じゃないですか。全国候補で今回改選の先生がいっぱいいるわけです。なぜあの人たちだけが事前活動をやっているんだという話になるので、党としてもすごい腰が引けるんですよね。だからもうちょっと前、せめて1年半ぐらい前であれば話は違う。あるいは参院選の直後でもいいんですよ。3年もあれば文句言わせないって感じでしょう。逆に3年間かけて選んでもいいかもしれません。よく公募の問題で言われるのが、人間的には問題があるんだけど、プレゼンはうまく、学歴ピカピカ、だから選ばれる、というのがあります。一方で、世襲の方はこれがない。小さい頃から見られてるわけですから。でも逆に同じような人しか現れないというのもある。もし参院選の直後に3年間かけて選ぶとかそういうのがあれば隠せないでしょう。毎週のように座談会やるとかね。すごいのが選ばれる気がします。

 

――少子高齢化が進む中で、今のままだと若者や将来世代の問題がどんどん先送りになってしまうと思うんですが、どうすれば若い世代の問題が解決されると思いますか

荻野:

僕の持論ですけど、一票の地域間格差っていうのが、最大で4倍ぐらい参議院の場合で認められているわけじゃないですか。それは政治的な理由で認めているわけなんですよ。完全に人口比例にすると都市部にやたら多くなって、田舎の声が全く届かなくなるから、地方の方にレバレッジをかけようとなっている。仮にこれが通用するのであれば、僕は平均寿命にかけるべきだと思います。今の有権者の平均年齢って知ってますか?53歳ぐらいなんです。投票者の平均年齢は57、8歳ぐらい。だから、選挙権もらったばっかりの18歳は4倍にして、あとは年をとるたびに係数が減っていくようにする。そうやって残りどれだけ生きるのか、で偏重していく必要があると思います。

もう一つは生涯未婚率が大きな問題だと思っています。生涯未婚の定義は50歳時点での未婚の男女のことを言います。今、男性の生涯未婚率は25%ぐらいです。女性は15%ぐらい。これが今から30年後は、東京に限って言えば男性は50%を超えると言われている。つまり、50%の人には子供がいないということになる。だから、将来世代のためにこういう政策をしましょうっていう説得は彼らに効かないんです。選挙制度を思いっきり変えなきゃいけない。今はまだギリギリ子供がいる世代の方が多いので説得しやすいですが、10年〜20年には効かない。本気でヤバいと思っています。

 

――最後に、今後日本はどうしていくべきだとお考えですか?

荻野:

最近、AIとかの進展がすごく速いじゃないですか。雑誌とかでもよく取り上げられていますが、どういう仕事がこれから取り残されないのか、話題になっている。でも、逆に言うと取り残される人がいっぱいいるんです。この人たちをどう食べさせるのか。少し前まではベーシックインカムって考えにあんまり賛成じゃなかったんですけど…。

 

――私もベーシックインカムは本気で検討すべきだと考えています

荻野:

その代わり、生産業は機械にやらせた方がいいと思います。僕は討論会の時に奴隷作れと言ったんですけど、奴隷っていうのはつまりAIでありロボットです。そもそもロボットの語源がそう。最低限生活できて、そこから上は別個の話。働かないでも生活していける国って夢みたいなこと言ってますけど、これを目指す以外ないかなと思います。

浅田:

働くという意味が変わるんじゃないかと思います。今現在でも専業主婦も働けみたいなこと言われるんですけど、専業主婦だって働いてる。要はお給料をもらうことだけを働くと言ってるけど、人のために動くっていうことが働くなんだから、例えば子育てや介護もそう。

 

――浅田さんが一番重要になってくると思う政策は?

浅田:

以前、カフェスタでも話したんですけど、要するに、家の中で起きてることを軽視しすぎだと思っています。そもそも社会で起きていることは全て人間がやっているわけじゃないですか。それであれば、人間を育てることにもっと重きというか価値を見出した方が良い。そこを忘れているのが今の日本だと思うんです。経済はもちろん大事なんですけど、そこばっかりに目が向けられると、例えば女性の社会進出ばかりに目が向けられてしまう。でもその活動ができる基礎っていうのは、生活なわけですから、そこをもっとちゃんと評価するためにはどうしたらいいかっていうことを私は考えています。

 

――ありがとうございました。

今回の「オープンエントリー」は有権者がネット投票で公認候補を選ぶという新しい試みだが、ネット投票のみではないなど、課題も多い。しかし、今後選挙でのネット投票を実現するためにも、今回どのくらいの票が集まり、どの候補者が選ばれるのか、注目したい。(5月2日でオープンエントリー投票者登録は終わってしまったが、既に登録している方の投票は5月9日20時まで)

 

浅田恵理(あさだ・えり)

1981年生まれ。慶應義塾大学卒。衆議院議員秘書。

 

荻野浩次郎(おぎの・こうじろう)

1978年生まれ。早稲田大学卒。衆議院議員秘書。

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