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アフリカで活発化するイスラム過激派--欧州でテロを起こす能力のある4つの武装組織

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近年、アフリカでイスラム過激派の動きが活発になってきている。

 

アフリカのサハラ砂漠以南の地域における宗教的な慣習は、個人の精神性を重視する、イスラム教神秘主義の「スーフィズム」に基づいており、中東のイスラム教国に見られるような厳格な慣習とは違って、そこには独自の伝統文化も存在している。そのため、この地域は過激派の影響を比較的受けにくい地域だとこれまで考えられてきた。しかしながら近年では、アルカイダやイスラム国(以下IS)といった過激派組織がその動きを活発化させ、勢力を拡大している。

アメリカ政府当局は、「ヨーロッパ・アフリカ一体で攻撃(テロ)を起こす能力のある武装組織」として、ナイジェリアのボコハラム、リビアのイスラム国、ソマリアのアルカイダ系組織アルシャバブ、北西アフリカのアルカイダ系組織を指摘している。

 

ナイジェリアのボコ・ハラム

「西洋式教育の禁止」を意味するボコ・ハラム。世界で最も残虐なテロ組織の1つとして指摘されている同組織は、2014年4月、ナイジェリア北東部チボク地区の学校から女子生徒219人を拉致し、世界に衝撃をもたらした。今月18日に被害生徒の一人が2年以上ぶりに保護されたとナイジェリア軍と地元指導者などが明らかにしたが、他の女子生徒は未だに救出されていない(5月20日現在)。今年1月には、北東部に位置するダロリ村がボコ・ハラムによって襲撃され、子どもたちを含む86人が殺害されている。

現在中央アフリカ地域では、アメリカ軍がナイジェリア、チャド、カメルーン、ニジェールと協働し、対ボコハラム作戦を展開している。アメリカ軍関係者やアフリカ政府関係者によると、最近になりボコハラムはISへの忠誠を表明、協働し始めたことが指摘されている。今後、世界で最も恐れられている組織とも言われるこの2つが協働し、北・中央アフリカのアメリカ同盟国に対する攻撃を展開する可能性も考えられている。

 

リビアのイスラム国

「保護する責任」の初めての実践例となった2011年のリビアへの軍事介入(関連記事:100日間で起きた80万人の虐殺-ルワンダ虐殺から「学んだ」、国際社会3つの歩み)。しかしながら、アメリカ軍やNATOの援護を受けカダフィ政権を打倒した武装勢力間で戦闘が勃発、リビアは再び混沌へと逆戻りした。その後、この隙を突いたISによって拠点が築かれ、複数の町を占拠、勢力を広げている。昨年2月には、リビアの海岸でキリスト教の一派であるコプト教徒のエジプト人約20人の首を切り殺害したとするビデオがISにより公開されている。

アメリカ国防総省当局は、ホワイトハウスに空爆含め対リビアのイスラム国に対する軍事行動を提唱している。また、先月25日にはドイツでオバマ大統領と主要4か国首脳(イギリス・フランス・ドイツ・イタリア)との会談が開かれ、国連主導でリビア統一政府樹立を目指す大統領評議会への積極的な支援を確認、「脆弱な政治的プロセス」の進展に向けた努力を実行中だ。

 

ソマリアのアルシャバブ

ソマリア南部を中心に活動するアルカイダ系テロ組織イスラム勢力。シャバーブとは、「若者」を意味する。

20年以上独裁者として君臨したモハメド・シアド・バーレが1991年に失脚すると、イスラム法廷連合(ICU)が勢力を拡大。しかしながら、その後欧米が支援する暫定政府とエチオピア軍の軍事的圧力を受けてICUは分裂。アメリカなどは、アルシャバブはICUの過激派が分裂したものとみなしている。

アルシャバブは近年、ソマリアとその隣国ケニアで活動を活発化している。今年1月15日にはケニア軍基地に大規模な攻撃をしかけており、アルシャバブはケニア兵約100人を殺害したと発表している(ケニア軍は死者数を公表していない)。

 

北西アフリカのアルカイダ系組織

北西アフリカのアルカイダ系組織も、近年襲撃を活発化させている。

昨年11月にはマリの首都バマコの高級ホテルが襲撃され、170人を人質にとって立てこもった。その後、治安部隊が突入、国連当局者によると少なくとも27人が死亡した。また、今年1月にはブルキナファソの首都ワガドゥグで国連職員や外国人が良く利用する高級ホテルとその付近の料理店が襲撃され、少なくとも20人が死亡し、15人が負傷している。どちらの事件も「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織(AQIM)」が関係しているとみられている。

西アフリカではアメリカ軍と特殊部隊がブルキナファソ、マリ、セネガルはじめ数か国の軍隊と共に、アルカイダ系組織による一連のテロ・攻撃の流れを根絶するために活動を展開している。

サハラ砂漠以南では2億5000万人以上のイスラム教徒が暮らしていると言われており、人口増加率の高いこの地域では、今後30年で60%も人口が増加すると予想されている。

テロや過激派誕生の一因には貧困や格差が根付いており、グローバル化に伴う技術革新は西洋社会とサハラ砂漠以南諸国との「差」を明確に彼らに痛感させ、更なるテロ・過激化へ発展していく事がまた懸念されている。アメリカ主導の対テロ作戦は幅広く展開されているものの、問題の根底に対するアプローチにも、国際社会は一丸となって取り組まなければならない。

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