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中東でプレゼンスを高める中国、「一帯一路」構想実現へ

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習近平国家主席が、積極的に外交を推し進めている。昨年は米オバマ大統領よりも外国を訪れ(習主席が14カ国に対し、オバマ大統領は11カ国)、今月19日から23日には、中東諸国を初めて訪問した。

中国は今まであまり積極的に中東に関与してこなかったが、米国の影響力が低下する中、そのプレゼンスを高めようとしている。今回の中東訪問でも、緊張関係にあるサウジアラビアとイランを同時に訪問し、新たな関係性を築こうとしている。

実際、中国外務省は「わが国は欧米諸国とは異なり、中東で紛争に直接関与したことがない。それだけに、公平な和平交渉が可能となる」と発言し、中立的な立場を取ろうとしている。

 

最初に訪れたサウジアラビアでは、サルマン国王と会談し、サルマン国王は習主席の外交政策の要である「一帯一路」構想に支持を表明し、原発を輸出することでも合意している。「一帯一路」構想とは、アジアー中東ー欧州を結ぶ経済圏だ。実際、すでに英国・ドイツ・フランスなどと関係を深めており、東・南シナ海でも確実に権益を確保しつつある。一方で、習主席はサウジのイエメン政策に支持を表明した(*イエメンの現状はこちら)。これは、イランをイラつかせることになるが、中国への最大原油供給国であるサウジを重視したものとみられる。

次に訪れたエジプトでは、カイロのアラブ連盟本部で演説し、米国の中東での歴史を批判、「公平な和平交渉」が可能だと主張した。また、中東の経済復興のために総額350億ドル(約4兆円)の融資、難民支援など数々の支援プロジェクトを発表した。エジプトのシシ大統領も「一帯一路」構想を支持した。

14年ぶりに訪れたイランでも、原発の輸出など今後10年で総額6000億ドル(約70兆円)の貿易を行うことで合意した。

中国では未だに約2億人の貧困人口を抱えている現状から、バラマキ外交だと国内から批判も集めている。だが、「一帯一路」構想、そして「中国の夢」実現に向けて着実に近づいている。「中国の夢」とは、2049年、つまり中華人民共和国の建国100年までに「中華民族の偉大なる復興」を成し遂げようとするものだ。習近平国家主席はこれを明確に意識している。

 

中東では、米国が介入を弱める中、ロシア、中国が影響力を増している。そして対米姿勢をとるイランへの制裁解除。サウジアラビアは、原油価格低迷の中、極めて厳しい財政状況に陥っている。別の記事でも触れた通り、石油への依存を減らし迅速な変革が求められるだろう。

今回の中東訪問は絶妙なタイミングだった。制裁解除後、初のイラン訪問国は中国となった。中国はイラン・イラク戦争からずっとイランに武器を輸出してきた。イランの最高指導者ハメネイ師は「イランは西側諸国を信頼したことはない」と主張し、「中国のような独立した国との関係強化を望んでいる」と述べた。中東において増大する中国の影響力に対抗しようと、安倍首相もイランを訪問しようとしている。

習主席は曖昧な態度を取り中東の和平交渉で中心になるつもりはないと発言しているが、それはウイグルなどで宗教間・民族間の複雑さを理解しているからだ。中国は欧米の過去の過ちを犯さないように、新しい良好なパートナー関係を築こうとしている。いずれ、サウジとイラン、どちらのサイドにつくのか求められるかもしれないが、その時は中国が中東で重要な存在感を放つことに成功した時である。

 

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